自動車文化の深みを体験できるのが、欧州の蚤の市。 パリやドイツ、イタリアなどで週末の過ごし方の一つとしてメジャーなイベントとなっている旧車ショー。 こうした「クルマとの付き合い方」を日本にも広めようとスタートした「Automobile Council」。発足前から微力ながら協力させてもらった経緯もあり、毎年足を運んでいる。 昨年の4月はまだコロナ禍によるマスクの自主規制があったので、実質今年が本当のコロナ後初の開催になったともいえるだろう。 欧州に暮らしていてイチバン感じるクルマとの距離感としては、自動車には2つの側面と捉え方があると思う。 もちろん、日本でもそういう感覚を持っている人がたくさんいると思うが、ひとつは仕事や通勤のアシとしての存在と、もうひとつは自分や家族との楽しい時間をともにするための趣味のクルマという側面だ。昔の表現で言うなら、「クルマの達人」とか「遊びの達人」という言い…
わたしはアニメだオタクだマンガだと騒ぎ始めた最初の方の世代に属する方だが、最近では映画興行成績のNo.1がアニメだったりと、もはや日本の主力産業と言ってもいいくらいのパワーをもちあわせている。 日本の文化を伝えるなんてだいそれた話をしている時期もあったけれど、実際のところは「日本の優れた才能と豊かな知識をもつ情熱家が集まる分野」というのが正しい気がしてならない。 人気漫画をよく見ると、実にシブいクルマが登場していたり、マニアがニヤリとしそうな有名映画のいちシーンがオマージュされていたりと、実に幅広い世界からの知識が蓄積されていて楽しい。 活字がメインだった時代(いまは果たしてそういえるだろうか?)には芥川賞だの直木賞だのと権威ある賞が並ぶが、もうそろそろ手塚賞をもっと権威あるものにしてもいいだろう。 だって、オスカーだって取りかねない勢いなわけだから…。なんなら、世界中のアニメーション制作…
最近、すっかり本を読んでいる人をよく見かける。 特に若い人たちだ。 ジブンの話をしてしまうと、すっかり目が見えなくなってきたくせに(老眼)、荷物を持つのが嫌だから、ついついスマホでいろんなコンテンツを見てしまう。 電車の中で他の人がなにをしているのかを見てみると(失礼ながらいろいろ観察してしまった)、ほとんどがゲームかSNS。あとはニュース関連。連絡の必要があるときはSNSはとても便利だと思うが、他人が何していようが、正直どうでもいい。ついつい目を通してしまうネットニュースなど、ちょっと冷静に考えれば、実にひどいネタや内容、文章だったりするのになぜか惰性で読んでしまっている。 つまり、スマホが浸透してからというもの、実はかなりの時間を惰性によるコンテンツ消費をしている気がしている。 ニュースや写真、動画は、気づけばどこの素人かわからない連中が作ったものがはびこっている。 そりゃ、「ありがた…
レトロモビル報告の続編第二弾。今年の目玉展示というと、ダカールラリー特集。 参加経験のあるメーカーはゆかりのマシンを並べただけではなく、それ以外にも代表的な車両が特別展示されていた。昭和のおっさんにとっては通称「パリダカ」で有名な過酷極まりないラリーだ。 1978年からスタートし、世界一過酷なモータースポーツと呼ばれたこのラリーは、三菱のパジェロが優勝したり、俳優の夏木陽介さんが出ていたのを思い出す。 何が過酷だって、パリをスタートしてバルセロナからアフリカへわたり、セネガルのダカールまで走る12,000キロを走るとかって、ほぼほぼクルマとバイクのマラソンともいえるような道程が何にも増してインパクトがあった。いわゆるひとつの男のロマン的なものだろう? ところが、度重なる事故や事件があり、やがてゴールがダカールじゃなくケープタウンになったり、果てはアルゼンチンのブエノスアイレスからチリへのコ…
さて、今回のメインであるレトロモビル。年々集客も増加しているようで、豪勢化の一途をたどってきたこのショーだが、なんといっても夢の車たちが一挙集結するということもあるので、やっぱり楽しい。 個人的に大好きなETC(ヨーロッパツーリングカー選手権)時代のレーシングカーや、数々のプロトタイプなんかが登場するこのショーは、やっぱり今年も大盛況だった。木曜の初日から「お前ら仕事はどうした?」と言いたくなるような様だった。 現地でちょいちょいお仕事もあったので、初日の3時くらいまではあまり会場を巡れなかったのだが、それでもいろんなクルマたちが目白押し。 やはり、レトロは楽しい。 個人的にはルノーの5が復活するので(名前だけ)、それが楽しみだったが、本体はモックのみ。そこから判断するに、私の知っているサンクには全く似ても似つかぬ姿なので、正直がっかりしたのだが、ここのところ演出のダサさが目立ったルノーに…
現在日本は、未曾有の株高で盛り上がっている。私は全く関係がないが、関係している人々はわりと盛り上がっている。 羨ましい限りだが、こればっかりは昔から興味がないので仕方がない。一方、大変なアオリを受けているのが為替だ。 街中を見れば、恐ろしい数の観光客で賑わう日本だが、それもそのはず、ユーロは去年の2割増しになっている。 コロナ期間中120円台だったユーロも160円台で安定。前にも書いたが、欧州で暮らしていると1ユーロの感覚はおおよそ日本の100円なので、日本人が彼の地で100円のものを買うのに、160円以上するという異常事態なのだ。 オリンピックの盛り上がりはないくせに、物の値段だけはオリンピックな感じになっていて、パリでの休日は、なかなかお財布に厳しい毎日になったのは言うまでもないだろう。 三つ星程度のビジネスホテルであっても、宿泊費は工夫に工夫を重ねても簡単に20万近くの出費になるし、…