Vol.169 さよならエディ

音楽関係の話の連投であるが、70年代後半から80年代にロックが好きで青春時代を過ごした方々には衝撃のニュースだったと思う。

エディ・ヴァン・ヘイレンが亡くなったのだ。享年60歳。

お茶の間レベルの話をするならば「JUMP」という曲が世界的なヒットをし、現在の日本のバラエティ番組などでも、飛ぶシーンなどがあるとよくもまあこんなにワンパターンというくらい、このジャンプという曲が流れる。

丁度パンクムーブメントが下火になりつつあり、テクノが流行りというタイミングで、NWOHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ヘビー・メタルの略)という新たなハードロックの流れが、イギリスを中心に沸き起こった70年代後半の1978年。ヴァン・ヘイレンなるあまり聞き慣れない名前のバンドがアメリカでデビューした。

 


お世辞にもオシャレとは言えないそのファーストアルバムのジャケットは、レコード屋でもさほど魅力的に見えなかったのをよく覚えているが、ギターを始めようというころ、それは間違いだと気付かされた。

いよいよ終演を迎えているような元気のないLed Zeppelinの新作よりも、このアルバムからシングルカットされたYou really got meという、さらに大昔の曲のカバーが、実に新鮮でかっこよく聞こえたのをよく覚えている。

なんせ、ギターが違う。聞いたことのない音だった。さらにアルバムを聞いて古い表現だがまさに「ぶっ飛んだ」。世界中が衝撃を受けたプレーが満載のこのデビューアルバムはまたたく間に若者の間、特にバンドをやっていた人間たちを虜にした。

 

まだエレキギターが買えなかった私も、懸命に雑誌の記事を読み漁り、プレイのコピーに勤しんだが、まあ、頑張っただけで、そのプレイの領域には程遠かった。

細かく回顧録を書くと何文字あっても足りないので、ここまでとするが、同世代の人間は日本のみならず、アメリカでもヨーロッパでもまさに世界中のティーンズがエディ・ヴァン・ヘイレンのプレイに酔いしれた。

80年代初頭まではまさにギターヒーローといえるようなタレントたちが、綺羅星のように輝いていたが、それをジェネレーションギャップと言われると反論の余地もないが、その後は全くといっていいほど際立つ個性を持ったスターは現れていない。

エレキギターの歴史はわずか70年ほど。ロックとなるとさらにその歴史は短い。だが、その中で最もそのプレイの新しさで世界を変えたという意味では、27歳でこの世を去ったジミ・ヘンドリックスと、今回なくなったエディ・ヴァン・ヘイレンをおいて他にないだろうし、そこに異論を挟むものはいないと思う。

 

訃報を聞いた時、本当に走馬灯のように当時のことを思い出し、個人的に最も好きなアルバムを引っ張り出し、再びギターを弾いた。ここ数年はがん闘病に苦しんでいたのは知っていたが、いざ亡くなってみると本当に寂しい。

あらためて冥福をお祈りしたい。
R.I.P.

 

A prestissimo!!