Vol.156 LANCIA DELTA S4

S4。エッセクアトロ。ABARTH038…。
よく無冠の帝王とかいわれるが、本来ならばもっともっと活躍してもおかしくなかったラリーランチアの最強兵器の一つであり、このクルマがあったからこそランチアデルタはインテグラーレとなり、エボルツィオーネ2にまで至る長寿を約束されたと言ってもいい。

古いファンなら耳にタコができるほど聞いた、コルシカラリーでの悲劇により、その輝かしい未来とともに、稀代の天才ドライバーを道連れにしてしまったクルマ。

 

誰が、何が悪いとか言える話ではないのだが、ともかく非常に残念であることは間違いない。ミドシップにターボとスーパーチャージャーをブチ込んだ、なりふり構わないテクノロジーとエンジニアリングの粋のようなクルマであり、ストラトス、ラリーと続く「パーパスビルトカー」の典型ともいえるランチアだったからなおのことだ。

 

ホモロゲ獲得のために1985年に登場したが、さほど人気もなく(ストラトスだって、発売当時は安くするから在庫を頼むから買ってくれとお願いされたほどらしい)しばらくの時間が経っていたが、ここ5年ほどでじわじわと上昇。最近のサザビーズでは旧車ショーではおなじみの写真のこのクルマが、70万ユーロで落札されたという…。

 

 

いまや風前の灯とも言えるランチアブランドだが、依然ヤングタイマーを含めた旧車の世界では人気抜群。現存しているとは胸を張って言い切れないほどの衰退ぶりだが、それでもこうやって未だに話題になる辺りは流石というしかない。

きっとこれからも人気が衰えることはないと思うが、やはり一日も早い真の復活を待ちたいものだ。

 

ところで、なんでスバルはS4の名前を商品につけたんだろうか?
仮にもラリー屋なわけだし、いくら無冠の帝王とはいえ、ちょっとデリカシーのないネーミングだなあと思ったのは私だけだろうか?

 

それではまた近々

 

 

A prestissimo!!