Vol.123 読者はそれでも熱がほしい

出版不況が嘆かれて久しい。
紙媒体だけではない、TVやラジオも、「今は世の中インターネットだからねえ」などと、弱腰な言葉ばかりが聞こえてくる。

 

かつて、ネット前夜の時代ではあったが、少なくともバブルのちょっとあとくらいまでのころは、オーソリティといわれる専門誌から、新しく刊行される雑誌まで、とにかく発売日が楽しみだったし、読めば「なるほど!」と唸らせられることしきりだった。でも、すべてが新しい情報ばかりだったかというと、決してそうじゃない。新鮮な食材だけが美味しい料理の秘訣なのではないように、やはりきちんと料理されたものこそが美味しいのだ。

 

 

暗に今の編集者を批判しているのかというと、そのとおりだ。

 

 

どの業界もみんながみんな殺伐としているかといえば、そんなことはないと思う。

例えば音楽雑誌。名門のSM社さんをはじめ、いまでも精力的に「なるほど」とおもわせるような読み応えのある記事満載の雑誌やムックを刊行されている。決して安くはない金額だが、ついつい買ってしまう。

 

 

自動車雑誌はどうだ?
もちろん、当然ながら仕事なのでがんばっているが、好きなことを職業にできた幸せというのは、目指したが届かなかった人たちにすれば、本当に羨ましい世界なはずだ。そりゃ編集仕事は大変だ。でも、エンタメだってことと、自分が知りたいことは読者よりも深くなきゃいけないくらいの責任感は持ってほしい。

 

いつだって、楽しいことを教えてくれる「先輩」でなくちゃいけない。

 

自動車って、生活に根ざすもの、趣味に根ざすもの、いろんなユースケースがあるわけだが、そのどれにも属さない「他人事」な記事が多いのが海外のメディアとの大きな差のような気がする。

 

新製品の発売情報程度のことなら、それこそネットで拾えばいい。 それ以上の真剣に向き合うための情報源を、今も昔もこれからも人々は求めているのではないだろうか?

 

ネット上での情報に対する信頼性はこれからどんどん下がっていく。だからこそチャンスだ。

 

好きこそものの上手なれという言葉のように、むせるような、そしてうっとおしさすら感じるような熱量と愛が溢れた人でないと、こうした媒体を輝かせるのは難しいのかもしれない。Youtuberがその代わりになるという風潮もあるが、それはない。断じよう。

 

 

プロの矜持ってやつをなめてもらった困る。
がんばれ、雑誌! がんばれ、編集者!

 

 

それではまた近々

 

A prestissimo!!