自分はなぜイタリア車に乗っているのか?
ポルシェに乗る友人に引け目を感じたことも、スカイラインGTRがすごいと思ったことも、蛇のマークの赤い車が羨ましいと思ったことなど一度もない。じつに哲学的な理由から、もう一度なぜX1/9に乗っているのかを考え直すきっかけがあった。
大事にメンテをして、納車のころからすると比較にならないほど調子よく、軽快に走ってくれるX1/9を洗車しているときにふと思ったのだ。
「塗装が良ければコイツはどんだけカッコイイのだろう…。」
本国にはLidoなるオシャレなスペシャルバージョンがある…。
初期型に戻す改造がイカしている…。
よく見ればやっぱりニキのX1/9は初期型じゃないか…。
菊池武夫がFIATのカタログで褒めてるじゃん(粗い情報)
そこそこ遊んでいた私は、そんなイタリア車が小汚いままというのが、許せなくなっていた。ワーゲンやらアメリカンな感じのクルマならともかく、やはり小洒落たイタ車が見た目が汚いのはいただけない…。
なによりそのまま乗っているとむしろベルトーネの人たちに失礼だ!
そう思った私は、機関の整備よろしく、すぐさま一念発起で自分で塗装を試みることにした。元色は黒だし楽勝(とことん無学〜実際は黒が最も塗装が難しい)だろう…。と思い、ソレナリの投資をして塗料やパテ、工具などを買い込んだ。
気持ちを後戻りさせないためにも、当時のX1/9のオシャレ第一歩として常識だった、クロモドラ社のマグネシウムホイールCD30も購入した。
そんな儀式も終え、ついに塗装を剥がす段になった。とにかく、初めてヤスリをかけるときがあれほど緊張するものかと今でも思い出される。
慣れるとゴシゴシと調子も出てくるのだが、どうにも様子が変だ。
なかなか鉄が出てこないのだ。
やたらグレーのパテが多いなと思ったら、フロントのエンブレム周りがすっかり腐って鉄自体が存在していなかったのだ…。
嫌な予感しかしない時というのは、実にいろんなことを瞬時に考えることができる。
こいつ、腐ってないか?
初めての愛車が文字通り色あせて見えた瞬間だった…。
つづく。
A prestissimo!!