「コックピットを考える」
当然のことだが、クルマを運転する者にとって、コクピット周り、つまり操作系こそが一番付き合いの長い部分になるわけで、その機能、すなわち視認性や操作性の高さを求めるのは当然のこと。
じゃあ、それさえ良ければデザインはどうでもいいかというと、必ずしもそうではない。クルマは所有する喜びも兼ね備えるものだから、コクピットというのは外観と同等かそれ以上に重要だといえる。
今のクルマのコクピット周りは、計器類こそ大きな変動はないものの、使い勝手という点では大きな進歩がみられる。いかに目線を動かさずにより多くの情報を手に入れるか…。
とまあ、小難しいことはこの辺にして、機能も重要だが、要はカッコよさが求められる部分であるのは間違いがない。というわけで、今回はシトロエンのコクピット周りに触れたい。
「DS/GS/CX/BX/XM」
ジョルジェット・ジウジアーロ、マルチェロ・ガンディーニなど、多くの巨匠デザイナー達が「一番関わりたいプロジェクト」第一位に選んでいたDSを含め、かつては圧倒的な個性でクルマづくりを実現してみせたシトロエン。
自動車のコクピットとは「基本的」には、ユニバーサルデザインにもとづいているが、シトロエンに関しては、機能こそ同じでもそのアプローチが全く独自なのには、様々な機能が付加された現代の自動車と較べても、今なお新鮮ですらある。
ウインカーがレバーではなく、スイッチだったり、ホーンスイッチがワイパーレバーの先端についていたり、メーターが針ではなく文字盤が回転するボビン型だったり、とにかく、へそ曲がりなところが「ハマる」ポイントになっている。
何より一度運転するとその「感覚」すべてがシトロエンに”持っていかれる”感じは、何にも代えがたいものがあると思うし、エコだなんだとエモーショナルな部分がどんどん削がれていく現代の自動車にこそ、こういうコクピットに対するコダワリを見せてほしいものだ。
それではまた近々。