こう書くと後向きな感じに聞こえるが、これはもちろんサッカーのEURO2016の話である。 前号で「まさかの」イタリア快進撃を書いたが、残念ながらBest4をかけた戦いで惜しくもドイツにPK戦で敗れた。 普通に考えればドイツに勝てるはずもないような戦力だが、実は大きな大会における公式戦対戦成績はイタリアの8戦4勝4分と負けなし。 これがドイツを打ち負かすことのできる唯一チームと言われたゆえんだった。 120分戦った試合で決着がつかなかったので、これでイタリアの4勝5分と私は理解しているが、まあ、よくがんばった。プレッシャーに弱いイタリアはPK戦が大嫌いなのだ。 さて、今回のEURO。 フランスという欧州において交通の便の良い、この時期の気候も良い会場だっ…
欧州サッカー最大の祭典「EURO2016」が開幕した。 実はお互いそんなに仲の良くない欧州各国にとって、ある種のガス抜きイベントとしても機能している、欧州最大のサッカーのお祭りである。 もちろん選手たちにとって最も重要な大会はワールドカップなのだが、欧州選手権たる「EURO」は、それに勝るとも劣らない重要なイベントである。 実際の所、ブラジルとアルゼンチンを除けば、ワールドカップの優勝国は欧州にしか存在しないので、事実上の頂上決戦という言い方もできなくはない。 その試合の特徴はなんといっても「熱さ」である。 ワールドカップ同様4年に一度開催されるのだが、近親憎悪ではないが、歴史的な遺恨のある国同士の戦いなどは冒頭のように、かなりのガス抜きというかフェアな戦争とも言えなくもない熱い戦いが繰り広げられる。 今回、無事に本戦出場を果たしたイタリアなのだが、いかんせん今年の代表の小粒さ加減といった…
クルマはジドウシャである。 しかし、それはコミューターやモビリティという言葉に変換できるのか? それとも依然としてブーブーなのだろうか? フランクフルトモーターショーなどのいわゆる新車ショーと、レトロモビルやエッセンをはじめとした欧州旧車ショーを見比べて思うことだ。 劇的に進化した燃費性能は、クルマを利用するすべての人にとって益をもたらすものだが、一方でクルマという物質の存在や価値じたいを高めたかというと、少なくとも趣味の範囲からはYesとは言いがたいのではないか? テクノロジーの進化により運転そのものの負担が相当に下がったことは紛れもない事実だし、そうした技術がちょっとでもお気に入りのクルマに活かせればどんなにいいことだろうと夢想することも多々ある。 …
しばらく間が空いてしまったが、エッセンのレポートの続きを。 ポルシェの高騰ぶりは今に始まった事ではないのだが、それでもこの2年少々の出来事。 確かに50年を経てもかなりのクォリティを持つ個体が多く、また乗って楽しい事からも十分にその価値のある車とはいえるだろう。 それ以外にも総じて高値が付いていたエッセンであるが、多くのイタリアンも例外ではなかった。 もはやピッコロと呼ばれる事もなくなった308/328などの8気筒モデルも軒並み高値安定。一時は100万円台まで値段を落としたモンディアルシリーズまでもが、便乗値上げにまんまと乗っかる始末だ。なんともはやである。 アルファやアバルトなど「いかにもイタリア」というクルマは高値安定。 …
欧州最大の旧車イベントと言われる「エッセンテクノクラシカ」に行ってきた。 イタリア在住としては10月のパドヴァがある種の定番なのだが、ゲルマン系北方の方々にはパリのレトロモビルかエッセンかというほどメジャーなイベント。 規模感でいうとやはり最大。もちろんかなり以前から販売される車両本体やパーツの価格も「高い」と言われ続けていた。昨今の欧州での旧車の盛り上がりはここでも散々お伝えしてきたが、この2月にパリで行われた「レトロモビル」でも、41億円という恐ろしい値段での取引が成立するなど大盛況だった…。 その意味でもどうしても行きたかったイベントだっただけに、久しぶりに胸高鳴るドイツ訪問となった。 イタリアとは違い、なんとなく整然…
甚大な損害をもたらした東北の震災から早くも5年が経過したわけだが、実はイタリアも火山国であって地震があるのをご存知だろうか? 実は昨年末のクリスマス時期に、規模こそ小さいとはいえ、フィレンツェで3日間で250回という「嫌な地震」にみまわれていたのだ。 そもそも中南部イタリアは地震が割と多い地域で、最近では生ハムで有名なパルマ周辺のレッジョ・エミリアで大きな被害が出た。 それでも日本、とりわけ関東地方に暮らす人間にとってはとるに足らないほどの地震なのだが、日本のような耐震構造や免震構造の家屋ではないのでダメージはそれなりに出てしまうというわけだ。 ただ、今回は尋常ならざる群発地震なので、フィレンツェが産んだ天才、ミケランジェロ代先生のあの世紀の名作「ダヴィデ」像が倒壊の恐れというのだからおだやかではない。 &…