前回のアルファムゼオから時間が空いてしまったが、引き続き欧州旧車祭りのご案内だ。 昨年もご紹介したESSEN TECHNO CLASSICAだが、欧州三大旧車イベントの一つに数えられる。 何度となく紹介しているので、何も今更という感じだが、ヘリテイジという資産を持つメーカーの巨大ブース出展が目立つようになり、また、クルマ本体の価格の高騰により、総合的に明るく美しいイベントとなった今、旧車ショーという呼び名はすでにふさわしくはなく、特にパリとこのエッセンにおいては、明らかに次のステージへと移行した感があるのだ。 &n…
今回は連続する旧車ショーの話にちょっと小休止を入れ、イタリアで巻き起こるとある論争について少々。 いま、世界各国で街灯のLED化が標準化されつつある。 言うまでもなく明るく、消費電力が少なく、安全面でも経済面でもそのメリットが受け入れられているのだが、欧州のいくつかの都市においては、ちょっと簡単に事は進んでいないのはご存知だろうか? かつてのフランス車がイエローバルブを推奨し、街の景観を保とうとしたのは一昔前の話だが、多くの歴史都市では「景観の保持」という大きな使命を担わされているのが現実だ。 パリ、ウイーン、ローマ、ヴェネツィア、フィレンツェetc. 電気代軽減よりも美意識を大切にするという気概は、個人的には実に素晴らしいと思うし、これらの街の多くは観光によって潤っているわけだ…
さて、今回はミラノだ。 ミラノといえばアルファ(単純?)。 というわけでアルファ・ロメオの殿堂、「Museo Storico Alfa Romeo」に行ってきた。 このコーナーを御覧頂いている方で、現地に行かれたことのある方もいらっしゃるだろう。が、イタリアの博物館は美術館同様、結構企画展を行うので、数カ月に一回は見どころが変わるので、何度行っても飽きない。 実は私は今回のムゼオ訪問が初めてだったのだが、やはり圧巻のボリュームと展示物のお宝度合いには大満足。少々市街地から離れているのでアクセスこそ良くはないのだが、一見の価値はあるだろう。 &…
少々肩透かしのトリノであったわけだが、まだまだこれからパリへと続く蚤の市報告の息抜きに、トリノの名物である自動車博物館で行われていた、ジョルジェット・ジウジアーロ展があったのでそれについて述べたい。 トリノでこそないが、同じピエモンテ州のクーネオという町で生まれた同氏は、FIAT500でおなじみ、ダンテ・ジアコーサ氏に高校生時代に見出され、卒業を待たずFIATのチェントロスティーレに入ったという、まぎれもない天才に属する人物だ。その後は20代前半でベルトーネのチーフデザイナー、そして日本人の共同経営者である宮川氏とともに立ち上げたITAL DESIGNで数多くの名作を生み出し、文字通り一世を風靡する…。 まあ、わたしなんかが言うと失礼千万なのだが、左の自画像にしたって「巧すぎる」の一言でしかない。ごめんなさいジョルジェット先生。 &nb…
今年は例年と異なり、トリノが先でパリが後という日程。 その影響があったのか、なかなか大きな変化が見られた。 規模では比べるべくもない両者だが、人気のブランドを多く抱える本場トリノで「掘り出し物」を期待していた人間としては、実に寂しいことになってしまったのだ。 旧車の価格が年々上がっていることは、何度も何度もご紹介したとおりだが、完全にビジネスという観点からすると、たった数日しか間が空かないこの2つのイベントで、どちらに出品したほうがいいか? という問題には議論の余地さえないだろう。 かつては王国と言ってもいいほどすばらしいメーカーやカロッツェリアが濫立していたトリノ。ここで生まれ、大事にされてきたカスタムカーは数多く、黄金期ともいえる50…
毎年同じ週に行われるので両方見に行く旧車ショー。 それがパリのレトロモビルとイタリアはトリノのアウトモトレトロだ。 一方はフランスの雄であり、こなたイタリアの自動車どころが誇る蚤の市。 しかし、昨年もこのコーナーでレポートし、前号でも散々煽っているように、欧州における旧車のショーは大きな様変わりを見せている。 希少価値のあるクルマ、レースヒストリーのあるクルマなどは高騰の一途をたどり、はては現状ブランドが維持されているかどうかも危ういようなランチアまでが今回の両方のショーで「Heritage」というブースを出す始末。 古い車をレストアするだけでなく、新しいネタとしてブランディングに役立てようという魂胆が丸見えな…