266-タンス預金の悲劇

Bollito Misto Vol.266

日本のタンス預金額の物凄さは世界でも有名だが、イタリアでもタンス預金があるにはある。

ローマの元警察長官ジュゼッペ・アントニオ・バニャートが兄から相続したアパートのタンスの引き出しの底には、ごっそりと現金が…。
といっても皆さんご存知、今のイタリアはユーロ。ここで発見されたのは、その前の通貨「イタリアリラ」です。

そのリラですが 2002 年に流通が停止。
2011 年 12 月 6 日から 2012 年 2 月 28 日までの間に、書留郵便で銀行にそうした場合のみユーロ変換が可能だったんですね。

あまりに急だった話なので、ワタシも持っていたリラをユーロに替えるかどうか悩みましたが、まあいくらにもならんので今でも記念として持っています。

この発見がニュースになったのは、その金額。
実に2億4500万リラ、現在の価値でおよそ1800万円ほどという大金だったのです。

ジュゼッペ氏いわく、「兄はものすごい節約家で、私が息子のルカと一緒にローマのこの小さなアパートを片付け、その後改修工事をしていたとき、 2億4,500万リラを発見したんです。兄は私にこんなお金があることを一度も言ったことはありませんし、ましてや引き出しに隠しているなどとは言わなかったです。彼は一人暮らしでしたし節約家だったのですが、なぜ彼が銀行に預けなかったのか分かりません。ましてやなぜユーロに両替できるのに時期に両替しなかったのかも分かりません。」

  

古紙 発見後ジュゼッペ氏はこのお金をユーロに両替するようイタリア銀行に嘆願したのですが時すでに遅し。
 「完全ユーロ化の発効から10年以上が経過したため、残念ながら変換不可能」といわれたそうです。

今のところただの紙きれの山ですが、彼は「最後の望みが消えるまで絶対に捨てません。」と言っているそうです…。

まさにタンス預金の悲劇。
ちなみに、イタリアではぼちぼちこのタンス預金リラ問題が出てきますが、大概は数万円レベル。笑って済ませるつつましい額で自分ちの経済状態を懐かしく思うというのがフツウ。
ちょっぴりミステリー要素もありますが、この額はさすがに…。

それではまた近々

A prestissimo!!