イタリアよもやま話〜Bollito Misto vol.54

      イタリア好きが嵩じてついにはフィレンツェに移住までしてしまったCollezioneイタリア特派員Noriによる、「イタリアよもやま話」。

 

      ちなみに「Bollito Misto」とはいわば「ごった煮」のこと。

 

      自動車、自転車、食事にワインやサッカーはもちろん、たまには真面目な社会的な?お話を勝手気ままにお届けします。

 

 

 

 

 

 

 

ACミランのホンダ選手が好調だ。一時的とはいえ、セリエAの得点王というのはすごいものだ。
以前にも触れたと思うが、日本に帰ってくる度によく聞かれる質問が、
「本田はイタリアで通用するの?」というものだった。
正直、日本の選手だからということで特報をしてくれるのは日本くらいなので、イタリアで彼のみをクローズアップすることは殆ど無い。もちろん大活躍すれば別の話だが…。

 

 

 

みなさんご存知の通り、W杯前の彼のパフォーマンスは褒められたものではなかったし、そのままW杯本戦も惨憺たるものだった。
ちょっと考えれば、激しいロシアリーグのシーズンが終わって、そのまま、さらに激しいイタリアのセリエAに突入するのだ。しかも、不調に喘ぐ名門ACミランにやってきたのだから、その重責はもとより、いきなりフィットして大活躍なんてことは本来望むべくもない。それは現地の人間たちの共通した意見でもあった。

 

 

 

とはいえ、プロなのでファンあっての存在。しかも、背番号が10ともなると、その結果に対して厳しい目が注がれるのは仕方のない事で、本田選手は容赦無い罵声のもとにあったといえる。以前にも彼がイタリアに来た時に書かせてもらったが、イタリアにおける背番号10というのは、野球における4番バッター的な「付加価値」が望まれるのだ。

 

 

 

 

W杯での苦杯があっての事かもしれないが、今シーズンの本田選手の活躍には心から賞賛を送りたい。フィオレンティーナファンの私としては、もちろん限りなく社交辞令に近いのだが、そこは日本人という枠内であえて最大級の賛辞を送りたい。
また、同じ関西人としては、イタリアという国は必ず追い風になると信じている。
というのも、イタリア人と関西人はメンタリティがほぼ同じなので、大阪にいる感じで世の中をわたると、案外暮らしやすい。

 

 

 

 

 

 

「昨季のホンダは弟だった…。」などなかなかおもしろいコメントが飛び出す今シーズン。イタリアの名物番組「Diretta Studio」のミランファンからは、毎ゴールごとに「お前らー!ホンダに謝れー!」と絶叫している。
よくイタリアではダメだと酷評されるというが、よくよく考えるとそりゃ当然のことだし、むしろこういった「謝罪」こそがイタリアの美徳だと思う。
良い物はイイ。悪いものはワルイ。
それがはっきりしているという点も関西っぽい。

 

 

 

本田もさることながら、ドイツはマインツでこれまた、飛び抜けた活躍を見せる岡崎。また、その決断たるや本当に難しかったであろう、英国ナンバーワンのチームから古巣へ戻った香川の英断など、W杯の惨敗のあとに見せた主力たちの動きには、ちょっとエールを送りたくなるものが多い。
 

 

サッカーファンとしては相当なガッカリを味わわされたW杯を、ファン以上に深刻に捉えていて、その雪辱を晴らそうと奮闘する彼らを見ると、これからの日本サッカーも、なんとかなるだろうと期待をせざるを得ない。
正直本田選手が次のW杯の主力じゃ困るんだけど(年齢的に)、日本のカルチャトーレ(サッカープレイヤー)がどんどん本場で活躍する姿を見てみたい。

 

 

 
それではまた近々

A prestissimo!