イタリアよもやま話〜Bollito Misto vol.53

      イタリア好きが嵩じてついにはフィレンツェに移住までしてしまったCollezioneイタリア特派員Noriによる、「イタリアよもやま話」。

 

      ちなみに「Bollito Misto」とはいわば「ごった煮」のこと。

 

      自動車、自転車、食事にワインやサッカーはもちろん、たまには真面目な社会的な?お話を勝手気ままにお届けします。

 

 

 

 

 

 

 

鈴鹿が終わり、初のロシアグランプリが終わったF1は、3戦を残し、メルセデスのコンストラクターズチャンピオンが確定した。
ドライバーズタイトルはハミルトンとロズベルグの二強による争い。つまり、こちらもチーム内コンペになる。
他のメンツを見てみよう。リッカルド、ボッタス、ヴェッテル、アロンソ…。
うーん。何か物足りない。これ、本当に猛者たちのレースなの?

 

 

 

スピードこそまずまずだが、ちょっとした乗用車のようなエグゾーストノート。一体何のクルマかわからんような複雑なデザイン。でも、「なんでも一番!」的なわかりやすさがウリのF1が、ちょっと複雑で迷っている感じがしはじめて暫く経つ。

 

 

 

 

 

 

 

F1よ、どこへいく?
思わずそう思わざるを得ないほど、混迷の極みにある、四輪の最高峰レース。
あるコースでは、日本が誇るアジア最高峰のフォーミュラ、スーパーフォーミュラに劣るセクションがあるという。
どんなに醜いマシンでも、せめて圧倒的なパフォーマンスさえ見せてくれれば納得もしようものの、これじゃ、リスペクトすらもてない。
空力とレギュレーションのせいとはいえ、全く美的感覚を無視したデザインの車両や、ファン無視のレースなど、本当に「何してるの?」と言いたくなる運営には、多くのファンたちのため息しか聞こえてこない。
 

 

 

そこに来て、フォーミュラEだなんだと、余計に話がややこしくなる新カテゴリも登場した。
 

 

 

実は数年間F1の仕事をしており、その空気や醍醐味は知っているつもりだ。しかし、今の状況はどう贔屓目に見てもツライ。
だってそうである。自動車レースの最高峰であり、花形であるこのカテゴリが、自らその名を汚すような改善という名の「改悪」で、多くのファンの不評をかっているのだ。世界中のクルマ好きの羨望の対象が、まさに地に落ちようとしているといっても過言ではない。

 

 

 

 

先日の日本グランプリも、一時は20万人を超える観客動員が、いくら台風の影響とはいえ四分の一程度の入り。来年から復活するホンダのお膝元としては、これまた残念な結果だった。
しかもサーキット側には落ち度はなかったと信じたいが、将来を嘱望される若手、ジュール ビアンキの選手生命を奪ってしまうような大事故まで起きてしまった。

 

 

 

 

小林可夢偉の所属するケータハムは、いわば特上の体験サービスを提供しているかのような「ただお金を払えば走れる」F1を実現してしまっている。
ロシアグランプリにおけるピットからの「自主リタイア」指示など、やはり許されるべき事態ではない。
 

 

 

娯楽の少ない欧州の、最大級のビッグイベントの一つであり、人々の週末の楽しみを、なんとか取り戻して欲しい。若者のクルマ離れが進む日本でも、きっちりと「面白いレース」をやって欲しい。
今のような、おかしなしがらみと金に縛られた退屈なレースを見せられるのはもう御免だ。

 

 

 

 

 

FIA会長のバーニー エクレストン一人の責任ではないかもしれないが、なんとかこの事態を改善して欲しいし、いろいろケジメをつけてもらいたい。
このまま混迷を続けるF1が、ひいては自動車業界の勢いを削いでしまわないか、それが本当に心配だ。
 

 

クルマの未来や技術を気にするのも結構だが、なによりこれはレースである。
その基本的なロマンやダイナミズムをスポイルすることなく、技術がそれをサポートする形に立ち返って欲しい。
あっと驚くような新技術を持ち込むヴェンチャーなチームが参加できるとか、レースとしての矜持を守りつつ、本当にいろいろな試みができる環境づくりを望みたい。
それではまた近々

A prestissimo!