イタリアよもやま話〜Bollito Misto vol.4

イタリア好きが嵩じてついにはフィレンツェに移住までしてしまったCollezioneイタリア特派員Noriによる、「イタリアよもやま話」。
ちなみに「Bollito Misto」とはいわば「ごった煮」のこと。
自動車、自転車、食事にワインやサッカーはもちろん、たまには真面目な社会的な?お話を勝手気ままにお届けします。
 
 
 
 
 
 
 
 
随分と暖かくなってきた…。
気の早い連中は6月からのヴァカンスを待ちきれないようだ。
アドリア海側では一時30度を超えたときには海岸に人があふれたほどだ。

春爛漫、トスカーナにお花の季節がやってくると、同時に夏への昂ぶりも急激に盛り上がりを見せる。ついこの前までドロミテでスキーを楽しんでいた友人はこうのたまう。
 
 
 
「そろそろヴァカンツァ(ヴァカンス)だから忙しくなる」と。
「は?」と聞きなおすとこう言う。
「’夏の’ヴァカンツァだ」としかめっ面で言う…。
 
 
 
さて、このヴァカンス。日本人が苦手なヴァカンス。
この時期になると、仕事で電話をしても居ない、注文したものが届かない。そんなの日本じゃ考えられないかも知れないが、皆で休むとはこういうことなのだ。
 
 
 
信じられないかもしれないが、郵便だってしっかり滞る。
役所だってあんまり機能しない。
便所の故障だって、ヴァカンツァ中には誰も来てくれやしない。
イタリアだけじゃない、実は他の欧州各国も概ね似たようなものだ。ただイタリアは地理的に恵まれているがために、「たまたま」夏も冬も、場合によっては春もヴァカンスが楽しめてしまうだけなのだ。

 
 
 
 
イタリアのオープンカーがかっこいいのはこういう必然から生まれている。太陽を楽しむすべを知っている。
だからどうせなら、誰よりもかっこ良く目立つようにしてやれ!
くらいの意気込みで作られている。たぶん。きっと。

もう辛くなってきた。だから、日本に休みがないと嘆くのはもうよそう。
いつかは長期休暇!いつかは5日以上の連休を!
 
 
 
そんな妄想を抱きため息をつく東洋人に彼らはこう言う。
 
 
「だから人間にはヴァカンツァが必要なんだよ」と。
 
 
GWが終わったってため息出してないで、みなさんもオープンカー買ってください。せめて。
持っている人は買い換えてください。この際。
夏休みに思いを馳せて忙しくなってみてください。
 
 
A prestissimo!