イタリアよもやま話〜Bollito Misto vol.39

      イタリア好きが嵩じてついにはフィレンツェに移住までしてしまったCollezioneイタリア特派員Noriによる、「イタリアよもやま話」。

 

      ちなみに「Bollito Misto」とはいわば「ごった煮」のこと。

 

      自動車、自転車、食事にワインやサッカーはもちろん、たまには真面目な社会的な?お話を勝手気ままにお届けします。

 

 

 

 

 

 

 

4月といえば新学期。そういう話は前回もしたばかりだが、イタリアの4月といえば、なんといってもパスクアだ。パスクアとはキリストの復活祭。
キリスト教徒以外には、正直なじみのないお祭りだが、春分の日の後の最初の満月の日曜日が祝日となる、「移動祝日」なので、毎年お休みの日が異なるのだ。
この期間は、誕生を意味する「卵」を模したチョコなどをみんなで食べる。
また、「アニェッロ」と呼ばれる子羊を食べるのが通例だ。

 

 

 

 

 

 

イエス・キリストの復活のお祭りなので、当然のことながら、かの宗教においては大変大切なお祭りであり、また春の到来と重なることからも、非常におめでたいお休みとなる。

長い冬が終わって春を迎えるという点では、動物視点からいうと、非常に嬉しい感じのお祭りだし、嬉しい感じもするが、日本はなにせ新年度である。
啓蟄を迎えて、のんびりとおひさまを堪能するというより、何かと色んなモノが心機一転動き出す新年度という感覚が日本では強いような気がする。

 

 

彼の地は宗教的な意味もさることながら、この春を満喫する意味でも、しっかりとそこそこのロングバケーションになることが多い。故にこの時期は、海外とのお仕事では、なにかとチグハグが生まれやすい時期でもあるのだ。

 

例えば、日本から自動車のパーツを注文したとしよう。
運悪くこのパスクアに重なる、もしくは差し掛かるタイミングになってしまうと、まず間違いなくラグが生まれる。つまり、仕事にならないのだ。短くて3,4日。普通に一週間、長くて10日何も動かないのだ。

 

 

 

 

イタリア人は働かないとかそんなことを言ってはいけない。
だって、1000年以上このリズムなんだし、国家というより欧州ほぼ全土キリスト教に関連している人たちはまずこういった状況に陥る。イタリアはたまたま絶好の季節なので、お休みがちょっと伸びるだけなのだ。
正直、家族や友人を大切にするイタリア人の方が、人として正しいと思うし人間らしいと思う。
休めるなら休んだほうがイイに決まっている。
必ずしも仕事をすることが正義だとは思わない。しかし、ここまでお読みいただいてお気づきの方も多いと思うが、本当にヨーロッパは休みが多いのだ。

 

 

だから、クルマ視点だとオープンカーとかスポーツカーとか、趣味の車が生まれるんだろうなとしみじみ思う。
オープンカーはカッコいいという意味合いの他に、こうしたゆったりと流れる時間を存分に楽しめる唯一無二の道具としての存在理由があったりする。
スカして街中を流すために作られた伊達グルマでは決してないのだ。
花咲き誇る郊外を、こうしたゆったりとした時間の流れの中で楽しむ。
春は本当にうってつけだ。こういう時期に祝祭日を設けた先人に最敬礼だ。

 

 

 

私達日本人の本当の安らぎは、やはり定年退職後しか訪れないのだろうか?
まだまだ肌寒い日がある4月ではあるが、日本にも素晴らしい春がある以上、オープンカーを流して季節のありがたみを堪能するのも「風流を知る国」の民としては必要なことなのではないだろうか?

 

 

 

それではまた近々

A prestissimo!