イタリアよもやま話〜Bollito Misto vol.30

      イタリア好きが嵩じてついにはフィレンツェに移住までしてしまったCollezioneイタリア特派員Noriによる、「イタリアよもやま話」。

 

      ちなみに「Bollito Misto」とはいわば「ごった煮」のこと。

 

      自動車、自転車、食事にワインやサッカーはもちろん、たまには真面目な社会的な?お話を勝手気ままにお届けします。

 

 

 

 

 

 

 

昨年年末からF1がらみの話題が多い。
ホンダが帰ってくるというのは嬉しい話だし、非常に楽しみ。
一方シューマッハーの事故の話は気の毒としか言い様がないし、なんとか快方に向かって欲しい。
加えて小林可夢偉くんがF1に復帰だとか、何かとお騒がせな感じが漂っていて嬉しい。

 

ともかく今年「こそは」F1が面白くなってほしい。

というのも、勝者ベッテルくんには申し訳ないが、昨年はあまりにもつまらなかった。しかもイタリアでは13年からペイテレビのみの放映になったもんだから、なおいっそう盛り下がっていた…。
ライコネンとアロンソが上手くやっていけるのかとか、そういう瑣末な話はあるものの、本質的にF1が「熱い」という話はあまり聞かれない。これはちょっとさびしい。

 

 

そんな現状に一石を投じるためのものではないだろうが、昨年欧米で公開された映画「RUSH」について触れてみたい。

 

私のような世代であれば、ニキ・ラウダやジェームス・ハント、マリオ・アンドレッティと聞くだけでワクワクするようなものだが、その中でも極めつけのエピソードである1976年シーズンに基づくヒューマンドラマである。

 

 

 

正直、今なぜ?という感じもしたし、果たしてこういう話が今の人達に受けるのか?、そもそも、「熱血」という言葉こそ相応しい時代の「漢の勝負」、それが当時のF1だった。

あの頃の迫力が映画で再現できるとは到底思えなかったのだ。なので、公開前にはとても疑心暗鬼だった。

 

 

 

 

 

 

ところが、そんな心配もよそに公開後欧米では大絶賛。イタリアでも二時間特番が組まれるほどの盛り上がりぶり。果たしてその内容は評判どおりだった。
間もなく日本でも公開されるこの映画だが、少なくとも昭和40年代以前の生まれの人には感涙なくては観られない映画である。実に熱い、カッコいい映画だと思う。

 

映画の内容についてはここでは控えさせてもらいたいが、カメラワークなどは本当に「あの頃のF1」に対する愛で満ち溢れている。
技術と理論の屁理屈の塊のような、美しくもなんともない今のF1と違い、ミニカーもプラモデルも全部欲しくなるような圧倒的な存在感とかっこよさがあるクルマ、それが昔のF1の最大の魅力だったと思う。

 

 

 

 

 

どう見てもカッコいいウイングのデザインやファットなタイヤ。どれをとっても子供心というか男心をくすぐるシーン満載だ。
ラウダもハントも今の自分よりもはるかに若い頃なのだが、今を持って彼らよりかっこよく大人になっているとは到底思えない。

 

 

 

 

 

ライコネンが気まぐれでハントのヘルメットを被って出場した一昨年のモナコを思い出す。そう、いつまでも彼らはカッコいいヒーローなんだなあと。
当時の背景は、今のレーサーたちとはあまりにも異なるので、一概に彼らと比較するのは難しいかもしれない。
しかし、未だにラウダやジャッキー・スチュワートなどはパドックで存在感を放っていることを考えると、やっぱり修行が足りない??

 

 

うーん、2月が楽しみだ。またみてしまうだろうな。
とにかくおすすめの一本です。

それではまた近々

A prestissimo!