イタリアよもやま話〜Bollito Misto vol.16

イタリア好きが嵩じてついにはフィレンツェに移住までしてしまったCollezioneイタリア特派員Noriによる、「イタリアよもやま話」。
ちなみに「Bollito Misto」とはいわば「ごった煮」のこと。
自動車、自転車、食事にワインやサッカーはもちろん、たまには真面目な社会的な?お話を勝手気ままにお届けします。

 

 

 

 

 

 

 

カーステ話ついに完結。良いのか悪いのか、三回も連続させてしまった。
音源をSDカードとiPhoneに特化させた、旧車救済カーAV計画。
そう大下座に言うと響きはいいが、単純な暇つぶしだと言われれば元も子もないのも事実。
しかして、なかなかおもしろい結果が出たのでちょっとつぶやいてみたいと思った次第である。

 

 

 

前号で触れたように、P社の「理想的な高音質を追求」した1DINデッキは、なんと25000円を下回る、かつてのカーオーディオマニアにとっては信じられない価格。
見た目もシンプル。イルミ表示色も自由に変更可能ときたもんだ。

 

 

 

そうして届いたヘッドユニット。
見た目はシックだが、当然のことながらプラスチック多用のやや軽いタッチ。
まあ、これはいうまい。天下のメルセデスだって今日日は随分と安普請なわけだし…。
今回は純正スピーカーを使用することを前提としていたので、外車にはおなじみの社外製デッキ用取付キットを装着し、想像以上によくできたカプラー類を接続して、あっという間に完成。
さあ、バッテリーを繋いで各種設定開始だ。

 

 

 

普通のレポートならこの辺でなにかしらトラブルを期待するものなのだが、残念ながらそういったミスやトラブルが発生しようのないほど、近代のサービスは行き届いているのだ。マニアとはいえ、所詮は素人。段取り含めて大したことはやっていない。
こうした作業で問題になる専用工具等もとりたてて必要にもならず、ヘッドの取付キットに付属していた専用ツールと、懇切丁寧な説明書のみですんなりOKという始末。とにかく簡単なことこの上ない。ものの一時間とかからないくらいだから、如何に簡単かがわかろうというものだ。

 

 

 

さて、肝心の音はどうだったのか?
iPhoneなどは、背面のUSB(しかも2つ装備されてる!)にケーブルをただ繋ぐだけなので非常に簡単。この黒いケーブルこそ別売りなものの、ダッシュでの目立ち具合を考えるとむしろApple純正の白よりも好ましい。
ここから音を出す前に、もう一つの音源であるSDカードもセット。
これはフロントパネルを倒せば完全に格納されてしまう仕組みで、外観上非常にすっきりしている。
iPhoneを接続しない場合でもさっと楽しめるし、実は64GBもあれば相当な数のお気に入りが入れられる。

 

 

 

さらに、このデッキには驚きの「ウリ」があり、乗車位置に応じた適切な音場調整が可能なのだ。
「この値段なのに」である。
しかも、なおざりなポジショニングではなく、かなりピンポイントな位置調整が可能で、同梱の専用マイクロフォンをデッキフェイス部分に設置されたAUX端子に差し込み、自分が運転する時の耳位置あたりに設置すると、オートで位相音場の調整を行ってくれるのだ。

 

 

 

かくして準備万端。お気に入りの曲をかけて驚いた。
瞬間、走馬灯のように今までのカーステメモリーが脳裏を巡ったのだが、その結論は「ああ、俺の投資はなんだったんだ…。」
この一言に尽きる。

 

 

 

そう思わせるに十分な性能をこの25000円はみせつけてくれたのだ。
コスパという言葉が日本では流行っているらしいが、まさに驚きのコスパなのだ。
AACなどの圧縮音源が音楽の主流となって久しく忘れていた、芳醇な響きが最新の技術で復活している。思えば、テープ時代の方が今よりもいい音で聞いていたなあと、しみじみ思ってしまったが、思い出という追い風参考なのは言うまでもない。

 

 

 

感涙しばし、眼前のiphoneからはgoogle mapsさんによる懇切丁寧な音声案内つきカーナビが、すっかり忘却の彼方へと消えた東京の道を渋滞情報ともどもご案内してくれる。なにより旧車ならではのアピアランスを保ったまま、最新の便利機能と性能を満喫できる。いやあ、満足満足!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その昔ランチア・テーマワゴンにつけてたカーナビって25万くらいしたよなあ…。なんて思うと少々悲しくなってきた。いやあ、時代は変わった…。
かくして、三話にわたって続いた夏のカーステ計画はこれにて終了。あ、ちなみにP社さんの回し者でもタイアップ記事でもありません。完全な自腹レポですのであしからず。
さあ、次回からはまたイタリア話に戻ります!

 

 

それではまた、近々

A prestissimo!